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賢者は歴史に学ぶ 「アジア通貨危機」



今回は、1997年に発生したアジア通貨危機の詳細を解説します。

 

「アジア通貨危機」とは1997年7月にタイバーツの暴落をきっかけにアジア諸国に広がった通貨・経済危機を指します


1990年代のアジア諸国は世界経済の成長を牽引する有望な市場として世界各国から潤沢な資金を集めていました。しかし、当時のアジア諸国は米ドルと固定相場制を採用していたことで実態経済以上に自国通貨が割高な状況となります。

そこに目を付けたのがヘッジファンドの運用で名を馳せた「ジョージ・ソロス」です。

※ヘッジファンドとは市場の上げ下げだけでなく、様々な手法を駆使して利益を上げるファンドのことです

 

「ヘッジファンドの帝王」と呼ばれたジョージ・ソロスの存在


「ジョージ・ソロス」はハンガリー生まれのユダヤ人で著名な投資家です。彼が運用していた「クオンタム・ファンド」は1973年から10年間で4,000%以上の運用成績を上げたことで知られます。特に1990年代初めにイギリス通貨ポンドの空売りによる「ポンド危機」を引き起こした張本人が、ジョージ・ソロスであったと言われています。

 

ヘッジファンドによる空売りでアジア通貨が大暴落


ヘッジファンドが最初に目を付けたのがタイバーツでした。当時のタイ経済は輸出が好調で経済成長率も9%を超えていました。しかし1990年代後半に入って経済が失速し、貿易収支が赤字に転じたところでヘッジファンドに狙われます。

1990年7月、米ドルに固定されていたタイバーツは、ヘッジファンドによる「空売り」の集中砲火を受けます。ジョージ・ソロス自身は否定していますが、「ポンド危機」との類似点も多く、マーケットでは彼の関与が噂されました。

※通貨の「空売り」は信用取引で行われ、借り入れた通貨を高く売って、安く買い戻すことで利益を上げる売買手法です。


アジア諸国が固定相場制から変動相場制に移行した


当時は、日本・フィリピン・台湾を除く多くのアジア諸国が米ドルに自国通貨を固定させていました。そのためにタイバーツ以外の国々にも「空売り」が仕掛けられます。

対抗する措置は自国通貨の買い支えですが、その為には外貨(米ドル)を売って自国通貨を買い支える必要があります。しかし、残念なことに当時のアジア諸国には、売却するための外貨準備高がありませんでした。

自国通貨の売りに耐えられなくなったアジア各国は、変動相場制に移行して、さらなる通貨安で金融危機に陥ります。

 

限界に達した3カ国がIMF(国際通貨基金)の救済を受ける


タイ・韓国・インドネシアが最も多くの代償を払いました。デフォルトや通貨切り下げを防ぐためにIMFの管理下に置かれた3カ国は、資金援助を受ける見返りにIMFによる金融・経済政策への介入を認めさせられたのです

タイバーツの価値は通貨危機以前の半分以下に落ち込んで、企業倒産が相次ぎ失業者が街に溢れます。緊縮財政を求められた韓国はデフォルト寸前まで追い込まれますが、財閥解体や規制緩和で何とか持ちこたえました。インドネシアでは通貨ルピーの暴落が続き、その結果インフレを招いて暴動が多発します。

 

他のアジア諸国の状況


中国ではアジア通貨危機に際して膨大な財政出動を行ったこともあり、他のアジア諸国のように悪影響は受けませんでした。また、米ドルに固定されていた香港ドルも独自の為替政策からヘッジファンドの空売りが続きませんでした。

マレーシアでは、通貨リンギットの価値が半分程度にまで下落して株式市場も過去最大の下げ幅を記録します。IMFからの救済は受けずに済みますが、経済の落ち込みは深刻でした。

当時、日本の証券会社は香港やマレーシアの外国株を数多く取り扱っていました。マレーシアでは、当時のマハティール首相の政策で外貨を持ち出せなくなり、購入したマレーシア株を売却して円に戻せなかったことから一部の投資家が損失を被ります。


日本経済への影響


1990年代の日本はバブル崩壊からの回復途上にありました。東南アジアへの輸出で外貨を稼いでいたことから日本も「アジア通貨危機」の影響を受けますが、深刻な経済不況には陥りませんでした。金融システムが安定していたことでヘッジファンドによる攻撃の余地も少なかったようです。

 

まとめ


「アジア通貨危機」はアジア諸国の脆弱な金融システムを浮き彫りにしました。特に外貨準備高の不足が深刻な経済危機を及ぼしたことに各国とも衝撃を受けます。「アジア通貨危機」を機に中国の存在感が世界的に高まったことも象徴的です。そして、これからも東南アジア諸国の成長が世界経済の成長エンジンであることに変わりはありません。
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