FIREを「単なる節約レース」にしない。ゴールベースアプローチで手に入れる本当の自由

「FIREを達成のために、毎日食費を削り、趣味を我慢して、ひたすらインデックス投資に回す」
もしあなたが今、こんな生活を送っているなら一度立ち止まってください。FIREは目的ではなく、あくまで「自由な時間を手に入れるための手段」です。
なぜFIREを目指すのか? それが見えていない状態で「資産を増やすこと」だけに集中すると、たとえFIREを達成しても、「で、次は何をすればいいんだっけ?」という虚無感に襲われます。これを解消するのが、「ゴールベースアプローチ」を組み合わせた資産形成術です。
まずは、FIREのおさらいから
FIRE(Financial Independence Retire Early)は、経済的自立を果たして、早期のリタイアを目指すライフスタイルのことです。定年まで働いて、年金で暮らすイメージとは異なり、若いうちに資産を築き、その運用益だけで生活費をまかなうことを目標にします。
具体的な目標として、「年間支出の25倍を貯めよう!」という考え方があります。あなたが、年間400万円で生活しようとすれば、その25倍は1億円です。1億円を貯めて、年間4%で運用すれば、必要な収入を確保できるという考え方です。
【参考】
FIREの原点は、1992年の名著『Your Money or Your Life』にあります。本書では、「時間を切り売りする労働から脱却して、経済的自立によって自分自身の人生を取り戻す」という哲学が提唱されました。その後、2010年代のFIREブームを後押ししたのは、米国の「トリニティスタディ」という金融理論です。これは、資産を毎年4%ずつ売却していけば、30年以上にわたって資産を維持できるというシミュレーションに基づきます。 「市場成長率7% - インフレ率3% = 差し引き4%」という計算から逆算し、「年間支出の25倍」の資産を持つことが、FIREを実現するための世界的なスタンダードとなりました。

成功のカギは「ゴールベースアプローチ」にある
FIREを成功させる秘策は、「何のために、いつまでに、いくら必要か」を最初に決めておく「ゴールベースアプローチ」の考え方にあります。
一般的なFIRE論は、「資産1億円」といった数字にフォーカスしがちですが、ゴールベースアプローチでは、「人生で何を成し遂げたいか」という“物語”から逆算して、必要な資産に落とし込みます。
お金を貯めることに執着しがちな「FIRE」と、将来設計を重視する「ゴールベースアプローチ」を上手くつなぎ合わせれば、ゴールが明確になり、日々の支出削減も「我慢」ではなく、未来に向けた「前向きな調整」になるはずです。
ゴールベースでFIREを再構築する3ステップ
資産運用を「儲けること」から「人生の目標を叶えるツール」に変えるステップはシンプルです。
STEP1:ライフデザインを明確化する

まずは「どんな生活を送りたいか?」を書き出してください。ここが曖昧だと、資産額という「数字」の呪縛から逃れられません。単に「働きたくない」という消極的な理由ではなく、「自由を得た後に、何をしたいのか」を以下の視点で深掘りします。
・時間(Time)
「自由な24時間をどう配分するのか?」を具体的にイメージします。平日の朝にゆっくりとコーヒーを淹れる時間、子供の成長を一番近くで見守る時間、あるいは趣味の創作活動に没頭する時間などです。
・場所(Place)
今の住まいに縛られる必要がなくなったら、 都市部の利便性を享受し続けるのか、それとも地方や海外でコストを抑えながら豊かに暮らすのか。場所が変われば、固定費は劇的に変わります。
・役割(Role)
仕事という肩書きを失った後、社会とどう関わりたいか。完全に労働を断つ「フルFIRE」なのか、好きな仕事だけを適度に残す「サイドFIRE」なのか。自分が必要とされる場所をあらかじめ定義しておくことが、FIRE後の虚無感を防ぐ最大の防御策です。
~Point~
「やりたいことリスト100」を書き出し、その横に「それを実現するのに本当にお金が必要か?」を書き添えてみてください。意外と、お金をかけずに叶う願いが多いことに気づくはずです。
STEP2:必要額を明確にする

FIREの定石「年間支出の25倍」は、あくまで平均的な物差しに過ぎません。ゴールベースアプローチでは、あなたのライフデザインに合わせた「自分専用の目標額」を算出します。以下の要素を参考にして、シミュレーションしてみましょう。
支出の「変動」を予測する
現在の支出をベースにするのではなく、リタイア後の生活を想定した家計簿をシミュレーションしておきます。
通勤費、スーツ代、外食(付き合い)費用など、減らせるコストはありますか?趣味の費用、旅行代、国民健康保険や国民年金の支払いなど、増えそうなコストはありますか?
収入の「ハイブリッド化」を検討する
「運用益だけで全てを賄う」というストイックな目標設定は、かなりのプレッシャーになります。 例えば、月20万円の生活費が必要な場合、1億円(4%で運用できた場合)が必要ですが、月5万円だけ好きな副業で稼ぐ(サイドFIRE)と決めれば、必要な資産額は大きく下がります。その結果、気持ちにゆとりもできるはずです。
STEP3:戦略の最適化

ゴールが見えていれば、おおよその運用方針も決まります。
「5年後に早期リタイアする」なら、大きなリスクは取りにくいので、銀行の預貯金など、変動率の低い資産を増やすべきかもしれません。
一方、「20年かけて緩やかに資産拡大を考える」なら、NISAやiDeCoを積極的に利用したうえで、なおかつリスクを取って成長株に投資できるかもしれません。ぜひ、金融リテラシーを高めてください。
FIREは「人生のスタートライン」に過ぎない
ゴールベースアプローチの最大の利点は、「これだけあれば、十分かな?」と思える水準が、自分自身で認識できることです。
資産が積み上がっても、ゴールがなければ「もっと、もっと」と永遠に走り続けることになります。しかし、ゴールが決まっていれば、FIRE達成の瞬間は「ゴールテープ」ではなく、「新しい人生」のスタート地点になります。
自分の理想の生活にいくらかかるのか? その具体的な計算には、過去のブログで紹介した「キャッシュフロー表」が非常に役立ちます。ぜひエクセルを広げて、自分だけの『人生の設計図』を作ってみてください。
→簡単ライフプランニングのすすめ ~人生設計と資産運用~ | 大阪・中央区で資産運用のご相談はIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)・北田 雅人
SHARE
シェアする
[addtoany] シェアする