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領土問題を考える「安全保障と沖ノ鳥島」

2021年1月26日、日本経済新聞の一面に「独、日本に艦船派遣 今夏にも、中国抑止狙う」との見出しが躍りました。ドイツ政府がドイツ海軍のフリゲート艦を日本近海に派遣するという内容ですが、英国も同様に空母クイーン・エリザベスをインド洋に派遣する計画があります。この異例の展開は、いずれも中国への警戒感が強まる中で、欧州各国が積極的に極東アジアの安全保障に関わっていくとのメッセージだと考えられます。そこで、今回は日本の安全保障上、重要な地域となる「沖ノ鳥島」について考えてみたいと思います。


日本最南端の「沖ノ鳥島」


「沖ノ鳥島」は、日本で最も南に位置するサンゴ礁でできた島です。和歌山県と同じく東経136度に位置し、東京からの距離は1,740キロです。その面積は5万平方キロで東京ドーム107個分、住所は東京都小笠原村沖ノ鳥島になります。

 

海底山脈にある「奇跡の島」


「沖ノ鳥島」は、その地形や構造から「奇跡の島」とも呼ばれます。九州から南太平洋のパラオを結ぶ海底山脈の中で、唯一海底から海面に頭が出ている部分だからです。周辺海域は5,000m前後の深さで、まさに富士山の山頂だけが顔を出している状態です。

その山頂部分は、サンゴ礁で出来ており、満潮時に確認できるのは北小島と東小島の2つだけです。今にも沈みそうなこの島は、波消しブロックとコンクリートでしっかりと囲われています。それでも、台風や地球温暖化の影響(海面上昇)で常に消滅の危機に瀕しているのが実情です。



 

「島」なの?「岩」なの?


この沖ノ鳥島が「島」なのか「岩」なのかをめぐっては、アジア諸国でも論争が巻き起こりました。「島」ならば、日本には200カイリの排他的経済水域や大陸棚にも権利が及びますが、「岩」ならば、領海にしか権利が及ばないからです。

最終的には、サンフランシスコ条約で沖ノ鳥島は「島」として認められ、護岸工事などの整備を行ったうえで、現在は「東京都小笠原村沖ノ鳥島一番地」のプレートが設置されています。

 

なぜ、沖ノ鳥島が重要なのか?


沖ノ鳥島の周辺海域には豊かな漁場が広がっており、その関係で近隣諸国からの密漁が絶えません。また、資源の乏しい日本では海底鉱物にも大きな期待が寄せられています。

電動車(電気自動車など)に積まれる蓄電池には、コバルトなどのレアメタル(希少金属)が必要とされます。そのため、海底鉱物の宝庫である沖ノ鳥島の周辺海域には熱い視線が注がれています。

軍事戦略的にも「沖ノ鳥島」は重要な意味を持ちます。それは、周辺海域が中国・豪州と南米を結ぶ物流の運航ルートにあたるためです。支配力を高めたい中国は、沖ノ鳥島を「島」とは認めておらず、周辺海域の海洋調査を継続的に行っています。


中国による海洋調査は、軍事的な意味合いが強い。


アジア諸国に支配力を強める中国が、もし有事を引き起こした場合、ハワイと台湾を結ぶ沖ノ鳥島周辺で米国の空母と中国の潜水艦が急接近するかもしれません。

南シナ海や東シナ海で滑走路などの軍事施設を建設する中国に対して、周辺諸国は幾度となく楔(くさび)を打つべくメッセージを発してきました。しかし、香港における民主化運動家への弾圧など過激な行動は収まる気配を見せません。

 

まとめ


ここにきて欧州諸国が東アジアの安全保障に乗り出してきたのも、中国の軍事力が近い将来、世界の脅威になると考えているからです。コロナ禍で各国ともに、感染拡大の抑制と経済の立て直しに時間を割かれています。この隙を突いて軍事力を強化する中国の動向には注意が必要です。日本においては、「自衛隊の在り方」も含めて安全保障に対する法整備が急がれます。

※(補足)2021年2月1日、中国の海警局(中国共産党・中央軍事委員会の指揮下)による武器使用を認める海警法が施行されています。
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