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GDPって大事なの?(マクロ経済学)



「儲かりまっか?」「ボチボチでんなー」・・・相手の懐具合を探る挨拶は、大阪では日常的に使われます。「お金」「銭」「マネー」呼び名は様々ですが、いつの時代も人の収入は気になるものです。今回は、国民の収入が「GDP(国内総生産)」の正体であることを解説します。


付加価値ってなんだ。


ある男性が山で拾った木材で仏像を作り、メルカリに出品したら1,000円で売れました。拾った木材(0円)が仏像に変身したことで1,000円という新たな価値が生まれます。男性が木材を加工したことで生まれた価値のことを付加価値といいます。国内において、この付加価値を全て算出し、積み上げたものがGDP(国内総生産)の正体です。仏像で生まれた付加価値は、「儲け」となって男性の手元に残ります。

一般的に、「GDP(国内総生産)とは、一定期間内に国内で生み出された財やサービスによる付加価値の合計である」と説明されます。男性の場合、仏像が財であり、儲けにあたる1,000円がGDP(国内総生産)です。この仏像に1,000円を払った消費者(買い手)がいることも重要です。モノの値段は需要と供給で決まるからです。この場合、男性が供給者(売り手)にあたります。



※GDPの分解⇒gross(総ての)domestic(国内の)product(製品)


国全体の儲け”をGDP(国内総生産)と呼ぶ


では、鉄鋼会社のGDPを考えてみましょう。鉄鋼会社は輸入した鉄鉱石(100億円)を溶かして作った鋼鉄(こうてつ)をさらに板状に伸ばして鋼板(こうはん)に加工します。出来上がった鋼板をクルマのボディー向けとして自動車メーカーに200億円で販売したとします。100億円で仕入れた鉄鉱石が鋼板に変身したことで付加価値が生まれて200億円で販売出来ました。つまり、差額の100億円が鉄鋼会社のGDP(国内総生産)です。先程の1,000円同様、この100億円は「儲け」として誰かの収入になります。

次に鉄鋼会社から鋼板を仕入れた自動車メーカーのGDPを考えてみましょう。自動車メーカーはクルマを組み立てるために鋼板のみならず、タイヤ、アルミ、電子機器など様々な資材を購入します。その資材を組み立てて出来上がったクルマには新たな付加価値が生まれます。諸々(もろもろ)の資材を500億円で購入して、出来上がったクルマを1,000億円で販売すれば、差額の500億円が自動車メーカーのGDP(国内総生産)です。この500億円も誰かの収入になる筈です。



業界ごとの付加価値が集まればGDP(国内総生産)が計算できる。


不動産や株式の売買で発生する手数料や弁護士や会計士の相談料・コンサルタント料はサービスの対価としてGDP(国内総生産)に含まれます。しかし、中古車や中古マンションは、新築の時に既にGDPに含まれているため、その年のGDPには含まれません。

農家が作った農作物を市場で売らずに、自分の家で消費してもGDPに含まれます。市場を通さない政府の福祉サービスや公務員の給与も費用としてGDPに含まれます。国際比較ができるように、GDPは国連の定めたルールに従って作成されます。

そして、建設、食品、医薬品、電気機器、小売、鉄道、商社など経済活動の中で生まれる付加価値を積み上げてGDP(国内総生産)が算出されます。日本のGDPはざっくり560兆円程度(令和元年名目GDP)です。



専業主婦の労働対価はどうなるの?


GDP(国内総生産)の計算では、財やサービスに対価が支払われることが条件です。つまり報酬がない主婦の家事全般はGDP(国内総生産)には含まれません。しかし、ふたりの主婦が、お互いの家事全般を相手の家で行って、お互いに賃金を支払えば、GDP(国内総生産)に含まれます。サービスの対価としてお金の授受があれば、GDPは増えます。


儲けは誰のポケットに入るのか?


経済の主体は、家計企業政府の3つに分けられます。仏像を作った男性が得た1,000円は家計に入ります。鉄鋼会社や自動車メーカーから生まれた付加価値は、主に雇用者報酬として従業員に支払われます。残ったお金は企業の利潤となります。もし、土地や工場に賃料の支払いがあれば、それは地主の収入ですし、配当金や金利は株主や金融機関の収入として計算します。また、税金などで政府に徴収されるお金もあります。

つまり、GDP(稼ぎ)は、収入として「家計+企業+政府」の何れかに収まります。そのため、国内総生産(GDP)は、収入を合算した国内総所得(GDI)と等しくなります。

※GDIの分解⇒gross(総ての)domestic(国内の)Income(所得)


分配の概念(GDPは家計、企業、政府に分配される)


財やサービスで生まれた付加価値が、誰かの収入になることから、国内総生産は、生産面(GDP)と分配面(GDI)が等しくなります。受け取るのは、家計、企業、政府の何れかです。

家計への分配の多くは「雇用者報酬」で、GDI(国内総所得)の半分程度を占めます。企業への分配は「営業余剰」、個人事業主への分配は「混合所得」と呼んで区別します。

消費税やガソリン税は購入時に税金を含みますが、補助金を貰っている企業もあります。その為、政府への分配は「生産・輸入品に課される税金(間接税)-補助金」で求めます。

つまり、GDP(国内総生産)を分配面で見た場合のGDI(国内総所得)は、その多くが「国民の稼ぎ」として家計に戻っていることが分かります。定期的に発表されるGDP(国内総生産)の増減は、実は私達の収入の増減を表しているのです。

【補足】マクロ経済学では、時間の経過とともに工場や機械の価値が劣化することを「固定資本減耗」といいます。これは「減価償却費」に近い概念でGDPに含まれます。一方、固定資本減耗が含まれない場合が「国内生産」です。

 


支出の概念(お金の使い道で経済を理解する)


国内総生産(GDP)と国内総所得(GDI)はイコールでしたが、今度は所得の使い道(支出先)から考えます。答えからいうと、経済学では、お金の使い道は「消費」か「投資」しかありません。

月末になると給与やボーナスが銀行に振り込まれます。そこから、毎月の通信費や光熱費、交際費や娯楽費で銀行預金はどんどん減っていきます。減っていくお金は消費です。

一方、銀行に残った預金は、本人の知らぬところで銀行が企業への投資(融資)に振り向けていると考えます。そのため、銀行に振り込まれた給与やボーナスは、消費(使ったお金)と投資(残ったお金)のどちらかに振り向けられます。「収入=消費+投資」となり、収入の使い道(支出先)が確定します。ここまでで、国内総所得(GDI)と国内総支出(GDE)がイコールであることが分かりました。

※GDEの分解⇒gross(総ての)domestic(国内の)expenditure(支出)

また、家計、企業、政府の収入を消費と投資に分けることで、以下の公式が成り立ちます。(家計と企業は民間部門として合算、政府の収入は税金として徴収されている)

国内総支出(GDE)=民間消費+民間投資+政府支出(消費+投資)+純輸出(輸出-輸入)

※純輸出(国内で足らないモノは海外から輸入し、余ったモノは海外に輸出します)


三面等価の原則とは




以上のことから、国内総生産(GDP)=国内総所得(GDI)=国内総支出(GDE)の関係が成り立ちました。この公式が、「三面等価の原則」です。しかし、厳密には公式を成立させるための修正が行われます。たとえば「売れ残った商品は、在庫投資として後で調整される」などです。

最後に解説した国内総支出(GDE)がニュースでは頻繁に取り上げられます。「GDPのうち、消費が60%近くを占めている」、「民間企業の投資がGDPを引き上げている」などのコメントです。GDP速報値は、ニュースでも必ず取り上げられます。

今年2月中旬の株価上昇や8月中旬の株価下落は、GDP速報値の発表直後に発生しました。GDPを構成する企業の利潤や民間投資、家計の消費などには、日本経済の先行きを示唆するヒントが隠れているからです。


最後に


GDP(国内総生産)の正体が分かれば、経済ニュースの内容が格段に分かりやすくなります。国の成長率はGDPの変化率で計ります。つまり、GDP(国内総生産)が増えれば、私たちの収入も増える計算です。

大阪人の「儲かりまっか?」「ぼちぼちでんな-」の応対は、企業のトップ同士であれば、お互いの会社の業績です。それが各国の首相同士ならGDP(成長率)を意味します。国の成長率が話題になれば、それはGDPを意味しています。今後、ニュースや新聞を読むときには、是非参考にしてください。

※当ブログでは名目GDPと実質GDPの違いは割愛しています。また、表示内容に誤りがあれば、メールでお知らせいただければ幸いです。
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